今の高校生に望まれている本当の教育内容とは何か?
-上からの「道徳教育」への対案としての授業例-
はじめに
千葉県の「道徳教育」が始まろうとしている。年10時間もの新たな授業の準備は、教職員の多忙に拍車をかけるだけである。しかし、機械的に「道徳教育」に反対するだけでは学校現場はこれに飲み込まれていく危険性がある。上からの「道徳教育」への対案をまとめることは緊急の課題である。学校現場で積み上げてきた蓄積を使って、今の高校生に望まれている本当の教育内容と何かを考えたい。真の意味での「道徳教育」の授業例として参考にして欲しい。
「総合学習」の授業実践例を活用しよう
10年前に始まった「総合的な学習の時間」。この「総合学習」の授業内容を「道徳教育」で実施することは十分可能である。昨年度まで勤務していた高校の授業例を紹介する。
1年生は、フィールドワークや校外学習、壁新聞づくりやプレゼンテーションづくりなど多彩に実施している。最も多いのはワークシートを使ったビデオ学習である。昨年度実施した「総合学習」は以下の内容である。
1. 干潟とゴミ問題(たったひとりの反乱~ヘドロの干潟をよみがえらせろ)
2. 映画「第五福竜丸」
3. 谷津干潟フィールドワーク(校外学習)
4. 第五福竜丸フィールドワーク(校外学習)
5. 壁新聞づくり(壁新聞コンテスト)
6. 地球温暖化(海面上昇、崩れゆく生態系、ツバルの選択)
7. 足尾鉱毒事件(足尾の山を緑に、田中正造 足尾鉱毒事件に挑む)
8. 水俣病(水俣病50年を生きる~胎児性患者は今)
9. スローライフ(環境運動家 辻信一、ナマケモノ流快適生活~森の哲人が語るスローなエコ~)
10. 絶滅危惧種(消えゆく熱帯雨林 オランウータンの悲劇)
11. 動物園観察実習(千葉市動物公園の校外学習)
12. 動物公園の見どころ紹介、周遊コース、改造プランのプレゼンテーション作り・発表
13. 枯れ葉剤の汚染(枯葉剤がベトナムに残したもの)
14. 劣化ウランの放射能汚染(劣化ウランの傷跡 知られざるヒバクシャ、イラク 戦場からの告発)
15. 赤い背中~原爆を背負い続けた60年~
16. 労働基準法(労働基準監督官 和倉真幸 働く人の味方です)
17. デートDV(相手を尊重する関係を作る)
18. オトナへのトビラTV~恋愛編~
1年間の最後に実施したアンケートには、今の高校生に望まれている本当の教育内容は何かを考える上で示唆に富んだ声がたくさんある。「印象に残ったもの、学習して良かったもの」を選んでもらった結果も含めて以下に紹介する。
「1年間の総合学習で学んだことは何ですか」に対する回答の中には、「環境の問題や今実際にある問題」に気づき、「人や物、動物を大切にすることを学べた」、「地球温暖化や、自然破壊などを止めなくてはいけない」という声が寄せられている。
「印象に残ったもの、学習して良かったもの」を選んでもらった結果を得点の高い順に並べると上記の表のようになるが、彼らの今の生活に直結するものが高得点であった。
これらのビデオのダビングや貸出、ワークシートのデータ送付は、ご連絡いただきたい。
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