(ア) 「自分の意見を持てる」授業をどう作るか
歴史の授業は「暗記もの」という見方が高校生の常識である。教える側も、自分の意見を持ち、表明できる主権者を育てる授業をめざしていても、実際は講義式の場合が多い。
そこから脱却し、生徒が「自分の意見を持てる」授業に変えるのに必要なことは、次の簡単なことである。
まず自分の意見を書く時間を授業で確保すること、次にその意見をクラス全員で共有することである。生徒が意見を持てる教材を準備し、意見をまとめて知らせることである。生徒の意見をまとめることは、授業への反応がリアルタイムで分かり、教える側にも楽しいことである。
(イ) ビデオ学習が授業を変えることの意味は何か
NHKが放送した番組を教育現場で有効活用してもらうために、ティーチャーズ・ライブラリーを整備しDVDを無料で貸し出している。ビデオ録画や撮影の機材も安価になった。映画やドキュメンタリーのDVD化も進んでいる。ビデオ学習の条件は広がっている。日本と世界の現実と歴史を学び、主権者として生きる知恵が得られるかを基準に、ビデオ教材を選択すること大切である。またビデオ教材の活用方法を工夫することが、授業の質を変えると思う。ビデオ学習を授業で大いに活用したい。
(ウ) 論述テストが授業を変えることの意味は何か
選択問題や穴埋め問題などの暗記中心のテストでは、本当の意味での「自分の意見を持つ」授業はできない。授業を変えるとともに、テストも暗記中心からの脱却を図りたい。
1985年の学習権宣言には次のようにある。
学習権とは、読み書きの権利であり、問い続け、深く考える権利であり、想像し、創造する権利であり、自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる権利であり、あらゆる教育の手だてを得る権利であり、個人的・集団的力量を発達させる権利である。
この精神を生かして、「問い続け、深く考える権利」、「歴史をつづる権利」を行使できるテストに変えたい。テストを論述問題に変えることで「自分の意見を持てる」授業を完結させたい。その際、論述問題が初めての生徒が多い場合は、授業で使っている教科書やプリント・ノートなどの持ち込みを認めたり、事前にテストのヒントを示したりする配慮も大切である。また、採点の公平を期すために、答案返却の際には解答例を示したり、異議申し立てを受け付けたりする配慮も大切である。
ビデオ授業と論述テストが相乗作用を発揮して、「自分の意見が持てる」授業ができる。
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